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| めざめるときに目のなかで見えるのは、白か灰色、または、ほとんど黒に近い暗い灰色である。色彩というような色はない。見えるのは、明るさと暗さの強弱だけである。色の区別というか、色そのものはない。白いまぶしさの灰色か、暗い灰色かだけである。 うすら白い灰色の、まるで濃い霧（きり）の中にいるような、そんな、なにもかもがボヤけてかすんで何も見えず、ただ白さという非常に淡い光だけが感じられる。うすら白く、どこからか光が入り込んで来ている。そして、それに気づくと、いつのまにか強くなっていて、まぶしくなって、目を開けて居られなくなる。 しかし、この光というものが、まぶしさというのが、いったいどこから、なぜ、何のために、僕自身に迫って来たのかが分からないのである。まぶしくなってくるというのは、僕に近づいて来ているということなのである。そして、それがなぜ、僕の目のなかで、あるいは夢のなかでそう感じたのかが、わからないのである。 何か自分でも意識されずにいる、何かとっても大事なことがあって、それがまぶしさという感じ方のイメージとして、現れて来たのではないだろうか。 |