| index ＜ 日誌 < l見えないもの＜ 「異界」p8/ |
| めまいのする、まばたきするほどの瞬間である。何かのハズミで瞬間的にチラリと見える、あるいは、「見えた」と思えてくるのである。しかしそれがいったい何なのかどうしても思いだせないのである。 それは思い込みであり、思い出せないでいる記憶であり、意識されることのない、あるいは、意識の外にある本能的な心証の世界、自分でも分からない理由なき直感や衝動といった、そうした心の動きとでもいったものである。 しかし、そうした意識の根源、見つからない記憶の痕跡といったものは、何らかのカタチを求める。音でも、ニオイでも、見えるものでも、あるいは空想だけのイメージであっても、あるいはまた、論理的なコトバの概念だけだとしても、なんでもよい。とにかく「カタチ」を求める。 とにかく「カタチ」にしておかなければならない。そうしないと忘れるし、消えて行くのである。それを意識の世界に取り込んで、記憶として残すには、どうしても、記憶にとして残る何らかのカタチにする必要があるのである。カタチがあって始めて、それが何かの記憶として残るのである。 |