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心の中は常にゆれうごき、移ろいでいる。そしていつも何かを求めていて、現れては消えてゆく。同じものは二度と現れない。それをとらえて知るには、どうしてもその瞬間をとらえて、何らかのカタチとして保存する必要があるのである。 それは、自己の意識とか記憶の外の世界の出来事である。自分でも意識されることのない潜在的な、無意識の、目覚める前の世界である。 まだあるのかないのか、それもわからないような何かの可能性のままの世界である。いまだ目覚めたことのない、外の世界を知らないタマゴの殻の中の世界である。殻を破って出て見ないことには何もわからないのである。 だがそれは、非常に、かけがえもなく大事で貴い、自己の存在の根源にかかわる出来事なのである。そして実は、それが自分自身そのものなのである。自分と他人を区分する境界線なのである。だれにも無い、自分だけが持つ、自分の理由なのである。そしてまた、自分の精神の中にあって、自分でもけっして届くことのない世界なのである。 |