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春カスミとは、薄い霧(きり)のことで、それが地上と空全体を覆い、長くとどまっている状態である。その正体は水蒸気で、直射日光によって暖められた地表面の水が、相対的に大気よりも暖かくなって、大気中で水蒸気として放出されるのである。 だから、たいてい春カスミの強い日は、空が晴れていて、雲がなく、むしろ、地上と空全体が非常に薄い雲、つまり、霞(カスミ)に覆われるのである。暖められ軽くなった水蒸気は、自分より重い大気の中から浮き上がって来て、上昇し続ける。ということは、春カスミであり続けるには、地表面から水分が蒸発し続けなければならないのである だからまた、春カスミは、市街地では起こりにくく、郊外の川辺や田んぼ、山々などの湿気と水分の豊かなところで、顕著に発生する。近代化前の江戸時代までの日本は、「豊芦原の瑞穂の国」といって、常時、きりとかカスミで覆われていたと思われる。現在とかなり様子が異なるのである。例えば、絵画を見ても、その背景はたいてい雲である。雲で囲まれ、雲とカスミが枠となった風景である。 |
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