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春のカスミとは、薄いキリのことで、ほぼ一日中、景色が白いカスミの中に覆われている世界である。それは言い換えると、非常に薄い雲が地上に降りて来て、地上と天上の世界がつながったのである。それは神々の世界なのかも知れない。春カスミが象徴するのは、そうした生と誕生、再生と復活、めざめの世界である。 春カスミが、ほぼ一日中続くのは、それが霧(キリ)などとは違って、一時的なものではなくて、継続する持続的なものだということである。では、いったい何がそうなのかと言えば、春カスミを発生させる気温と湿度が、そうなのである。 春カスミの白(しろ)さとは、この気温と湿度がもたらす水蒸気の、持続する安定したシロさなのである。それは、春の太陽の暖かさであり、そしてまた外気温のほんのもう少しの冷たさである。この温度の差が水蒸気を発生させる条件となっていて、これに南からの湿気を含んだ暖かい気団と、地表面の雪解け水が、水蒸気の水分を補給し続けているのである。だから、キリほどではないが、風景がかすんで見えてきて、それが続くのである。 |