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9、分からないこと。



だが同時にそれは、自分自身がのぞんだものでもあり、求め、あこがれ、あるいはまた、自分自身のなかにある何かの恐れから、追い立てられてきたものでもある。あるいは、ひたすら逃げ続けてきたものなのである。

せめられ、袋叩きにあいながら、やむお得ず脱出して来たものでもある。あるいは、自分自身を放棄し、自分が自分で無くなろうとしているのである。

その理由がなんであれ、たとえ、憧(あこが)れや、それとも恐れからであれ、そこから出てゆくしかなかったのである。今、自分がいる所を捨てて、そこからカベを越えて、外の世界へ出て行くしかなかったのである。

たとえそれが、何かに暗示され導かれたものであったとしても、それ以前に自分自身が、そこから出て行くしか無かったのである。それは確かに限界であり、その限界からの脱出ではあるが、大事なことは、もっとも肝心なことは、それがはたして何なのか、自分でもよくわからない、ということなのである。自分が、自分でもよく分からないことに追い立てられ、急かされているのである。


戻る。             続く。

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