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1、ヒヤリ。



うとうとして眠っているときに、手や足や首筋などに外気があたり、ヒヤリとすることがある。それは外気の冷たさであり、夏のクーラーの冷風だったりもする。そして、そういうことが意識されない夢の中では、そのヒヤリとしたところが、だれか人の気配として感じられるのである。

フトンの中にいた僕の肉体が、いつの間にか外に出ている。無防備で生身の、あらわな、むきだしのままで。だから、とても気になるのである。いつの間にか自分の一部が外に開いて、出ていて、外の何かと触れているのである。外にある、見知らぬ何かと接触している。僕の肉体が僕の知らないところで、何かと交流し、ふれあい、そして感じ合っている。

そこは、もともと何もなかったところである。だから何かを感じるということがなかった。僕の身体の他のすべての部分と同じように、フトンで外の世界と遮断されたところにあったのである。それがなぜが、そこだけが気がつくと冷たくなっていて、そしてさらに冷たくなってゆく。まるで自分のものではないかのように。

だからこのヒヤリとした冷たさは、僕以外の、外から僕のなかにやって来て、入ってきたものなのである。だからこれは、僕にとってみれば、疑いもなく他者なのである。僕以外の、何か得体のしれない未知のものが、僕の中に入って来ようとしている。

そして、このときの僕の状態ほど無防備の状態はないのである。意識がどこかハッキリせず、事態というのがよくのみこめず、何がどうなっているのか分からず、そしてまた、僕自身の身体も思うように動いてくれないのである。僕はウトウトしていて半分ほどは眠っている状態なのである。


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