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1、慣れ。



日本語の「いさぎよい」という言葉は、地震とか台風から来ているのではないだろうか。その他、カミナリとか、大火災もある。土地が狭く、家屋が密集した集団的集約農耕という事情もある。

古来の日本の紙と木でできた家屋は非常に燃えやすく、そして密集した家屋は、しょっちゅう大火災に発展する。すべて、一過性で突発的、予測不可能で、大規模かつ抵抗不可能だという点である。またそれが自然災害であるということだ。しかしその反面、ペストのような人間が持ち込む災害は、きわめて少ない。日本は出入国管理が容易な島国なのである。

また、ユーラシア大陸の歴史を彩る、異民族戦争、宗教・イデオロギー戦争というのが、日本にはほとんど無い。それは、ユーラシア大陸に比較すると、際立つ特徴というよりも、異質で違う別の世界のように見えるのである。

日本の気象の特徴としての、地震や台風などの、どうにもならない巨大な不可抗力に対しては、あっさりと諦(あきら)めるしかないのである。そんなことに係わりあっても、まことに仕方のないことで、何のたしにもならないことで、そんな余裕が少しでも残っているならば、それまでのことは「いさぎよく」、きっぱりと諦(あきら)めて、もっと現実的に、これからのことを考えようとするのである。

絶望の淵で嘆(なげ)き苦しみ、気力が無くなる前にそんなことは、アッサリと何もかも忘れて、これからのことをしようとするのである。このような大災害、地震、台風、大火災などといったものは、実は、日本では年中行事のように毎年、必ずやってくるものなのであって、だから、外国にくらべると、その対応は非常に落ち着いていて、慣れているのである。「いさぎよく」見えるのである。


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