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2、異民族戦争がない。



しかし、こうした「いさぎよさ」、あきらめ、あるいは結束して迎合するといった特徴は、何も自然災害に限らない。こうしたことは歴史の転換点においても露骨に現れている。明治維新、終戦直後の日本がそうであって、島国という歴史的・地理的条件は、過去を引きずったままで、新たな困難に対処するのを不可能にしている。

誰もが、みんな一致団結して、過去のいさかいやわだかまりを捨てて、いさぎよく明日に向かって行く以外にないように出来ている。そうするしかないのである。日本列島は島国なのである。自分たちだけが、周りに反対したままで生きて行くということを不可能にしている。

地理的にも歴史的・文化的にも、それ以外の選択枝はないのである。ここからまた、極めて異質で固有の特徴が見られる。宗教とか思想・信条以前のところで、「同じ日本人ではないか」という、心情や情緒といったものが、個人的な信条や精神の自由といったものに優先される。自由や人権以前のところで、情緒や心情が人々の心理を支配し管理されている。

だからまた、日本列島においては宗教・イデオロギー戦争、および異民族はほとんどない。それどころか、普通の意味での「内戦・内乱」もない。戦争は、たいてい、いつも民間人と戦闘員と区別して行われる。軍事要塞としての城そのものが、民間人を守るために出来ていない。「城下町」なのであって、大陸におけるような「城内町」は日本にはないのである。


戻る。           続く。

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