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「赤色」は、感情的で情熱的ではあっても、どこか落ち着きというか、ケジメのようなものがあって、自分の情緒に根ざしている。何かしらの理由とその相手を求めている。感情的ではあっても意志的で、目的とか意図のようなものが感じられる。流されず、感情も意志も自分のもとから離れることがないのである。 それが感情であるだけに、あちらこちらへと揺れ動き、またそれ自体も変化するのであるが、それが自分の情緒から来ていて、意志的であるだけに、結局は自分の落ち着くところを心得ていて、変わることなく同じところに戻ってくる、そんな色である。 だからそれは、変わることのない意志を、感情に訴えているのである。理屈とか知性、考え方といったものは、時と場所、そして場合によっては、時代によって常に変化しているのであるが、しかし、情緒といったもの、人間の肉体にすり込まれた肉体の感触、感性、感じ方といったものは、かんたんには変わらないのである。 そうした自分自身の身体そのものが持つ、意識されることのない無意識の世界で、「種」としての人間の精神を支配している、本能的な肉体の記憶とでもいったものである。それと自覚されることのないまま、日常の当然のこととして、無意識のまま受け継がれてきた、精神の感じ方といったものなのである。これが印象の世界であり、また、感情や情緒の世界でもある。 |