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しかし、それにしても、この「あける」。 あけた後にはいったい何があるのだろうか。開ける・明ける・空ける、それではいったい何をアケているのだろうか? 物ではなくて気持ちの上で。あけた後にいったい何を見ようとしているのだろうか? いったい何を期待し、予感し、あるいはまた、何かに追い立てられて仕方なく「あけて」いるのだろうか。いったい何が、そうさせるのだろうか。 最初はたぶん、自分以外の外の世界が、自分の気持ちと係わりなくアケて来たのだろう。夜が明ける、空が明ける、視界が開ける。そこで何かが見えてくる。今まで見えなかったものがアケてくる。そしていつか自分からも「あける」ようになる。カゴを空ける、目を開ける。しかし、いったいなぜ? 何がそうさせるのだろうか。 これは、今いる自分とは別の、異質な外の世界を見ているのである。もちろん、それは同時に、自分自身の知られざる一面をものぞき込むことになるのである。そうやって自分をたしかめ、自分と他者、外の世界を区別し、外の世界とは違う自分自身というのを見ているのである。 それは自分で自分を確かめ、認め、そして自分にめざめようとしているのである。自分と他人を区別して、異なるものとして自分を意識しているのである。そうやって、自分を探し、みつけ、そして自分自身に問うているのである。自分は何か? と。 |