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| たしかに変わっている。島という限られた空間のなかで、異民族の流入と流出がほとんど無かったのである。言い換えると千数百年、同じ祖先の子孫が、同じところで、ずっと同じ暮らし方をして来たのである。周りの隣り近所もそうだし、隣り村も街も、ずっと同じように昔からずっとそうであり続けたのである。だいたいから、それらの頂点に立つ者、天皇自体がそうであり続けたのである。 こうした社会では争いは起こりにくい。というよりも、実際問題として争いを起こせないのである。空間的に狭く、争いの後に出て行く場所そのものが無いのである。また、同じ場所で争いを引きずったまま生きて行くことも出来ないのである。いままでもそうだったし、これからもずっと子々孫々一緒に近くで生きて行くしかない世界なのである。 だから、表てだって争いを起こせないし、仲介人に間に入ってもらって、丸く事を収めるのを常としている。日本社会は、仲介人が非常に多いというよりも、実際には、それ以上に多いのである。仲介人ばかりといっても言い過ぎではない。空間の狭さがそれをやむを得ないものにしている。 それは現在でも同じであって、ケイレツとコネ、そして談合がそうである。そしてまた、これだけがすべてである。ホントに世の中の何もかもがそうなのである。 これが世の中のすべてを決めているのである。正義とか、事の良し悪しなどといった表向きの議論は、どうでもよい飾りやタテマエに過ぎない。ずっと昔からそうだったし、いまもそうである。そうやって世の中がうまく動いているし、また、そうやって世の中が成り立っている。うまく回るのである。 それがこの世界での個々人の情緒であり、心情であり、オキテであり、シキタリあり、タブーなのである。それはまた同時に、システム化された社会の秩序、日本社会と歴史を動かして来た必然性なのである。日本人というのを特徴づける、歴史的にも、社会的にも首尾一貫した共通性、現実の社会の中で共有され、歴史の中で絶えることなく受け継がれ続けている傾向、自意識と自己の精神の同一性なのである。 |