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8、思いやり。



だからまた、店舗などでは店員が素直に「ありがとうございます。」と言うのである。言えるのである。心の底から本当に、そう思っているのである。そしてお客様もそれに反応している。つまり、どこかで心情といったものが共有されているのである。このような内面性は、中国人にも韓国人にもないものである。

買う・買わないは、どうでもよいことで、店員はそうやって感謝の情を表し、そしてまた、相手にもそれを受け入れてもらえることに真のよろこびを感じているのである。それは、何も買わなくてもひとこと、お客様が「ありがと」と言えば、それで心の交流が成立するのである。これは本当の話なのであって、日本では本当にそうしたことが、商店とかビジネス以外でも、日常のすべての場面で行われている。

自分も、また見知らぬ相手も、お互いが心の中で感謝しあい、いたわりあい、思いやる、ということにこの上ない喜びを感じるのである。まるで、そこに自分の「存在理由」を見つけているようにも見える。しかし、こうしたことは見知らぬ外人にとっては、余計なおせっかいで、人格に対する不当な干渉と映らないのだろうか。いずれにしても、「思いやり」の心は日本特有のものと言える。


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