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島であるということ、つまり、逃げ続けるということが出来ない、ということである。ここで生まれたら最後、ここでずっと生き続けるしかないのである。 文化というのが歴史的にも空間的にも固定され続け、あまりに特殊化してしまったために、社会と経済の国際(グローバル)化に馴染めないでいるのである。日本人が外国で暮らすには、自分たちの文化や精神のあり方が、あまりに違い過ぎるのである。だから、日本で生まれた者は、日本で生きて行くしかないのである。これが日本と世界との精神的な隔たりである。 第二次大戦終結直後、ナチスドイツの将官たちは追及を恐れて、数千人が南米へと亡命していった。ところが日本では、外国へ逃げた将官は一人もいない。それどころか、将校の数千人が自殺している。義憤に駆られてである。追及を恐れたからではない。 アイデンティティ―といったものが自分自身の中に無くて、日本という共同体の中に存在しているのである。自分を個人としてではなく、共同体の全体性として見ているのである。この日本を離れたところに自分というのが存在しないのである。 |