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2、境界。



精神的でない、現実の隔(へだ)たりとは、海のことであって、日本と大陸とをへだてるこの海が、日本を孤立させ特殊化し、個性化してきたのである。かつて近代に至るまで世界=大陸と日本の間に海が存在するということ、つまり、日本という島に物理的な境界線が設けられていたのである。

この世界との反対側、すなわち太平洋側から世界がやって来たのは近代の19世紀以降に過ぎない。それまでの日本にとっての世界とは、常に大陸側であって、主に中国を意味している。交通手段の未発達な20世紀に至るまで、たやすく海を渡って、向こう岸へ行くというわけには行かなかったのである。

従って、逃げ続けるということが出来ないのである。この場所で、いままでの周りの者との間にあって、彼らと共に生きて行かなければならなかったのである。だから、争いは起こせない。だからまた、なんでもかんでも曖昧にする傾向がある。意思表示も常にハッキリしない。


戻る。              続く。

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