index < 日誌 < u列島< 「宿命」p4/


 
3、いさぎよい。



だが、これだけではない。山の多い日本の複雑な地形は火山列島というプレートマグマの縫い目の、ちょうど真上に位置しているのである。地震の多発地帯なのである。そしてさらに、燃えやすい建物と集住する生活形態が火災となって、追い打ちをかける。むしろ、日本の実情から言うと、地震の後の火災の方が、より被害が甚大である。

逃げ場のない限れた空間の島の中で、地震が起きる。台風がやって来る。それらは予測が不可能で、突発的で、一過性のものである。そして、何よりも破壊的かつ壊滅的なのである。生活の基盤が無くなる。住居がなくなり、食べ物がなくなり、そしてまた、職業そのものが成り立たなくなるのである。にもかかわらず、そこで生きて行くしかないのである。日本は島であり、空間には限りが設けられているのである。

だから気性・気質はアッサリしていて、執拗で陰湿なものを嫌う。それは個人の好みというよりも、そうでないことには社会が成り立たないのである。社会が存続し得ないのである。共同体としての社会が破壊されてしまうのである。だからまた、キッパリした性格が尊敬もされるし、そこからまた、「潔(いさぎよ)い」という気持ちの持ち方が生まれてくる。


戻る。              続く。

index < 日誌 < u列島< 「宿命」p4/