index < 日誌 < u列島< 「宿命」p4/ |
それまでの行きがかりや因縁を、いとも簡単にアッサリと捨てる。そのいさぎよさ、節操の無さ、変わり身の鮮やかさは外国人たちを唖然とさせる。昨日までの敵ともいっしょになって、信じて、新しいどうにもならない大災害の後の世界に対応して行くのである。また根本的な政変に際しても、アッサリ、キッパリと迎合してしまう。そうするしかないし、そうしてのみ、新たな現実も開けてくるのである。 それがまた、島という限られた空間に住む者にとっての現実であり、宿命なのである。キッパリ、アッサリが好まれ、潔(いさぎよ)さが貴ばれ、陰湿で執拗なのが忌み嫌われるのは、このような地理的・歴史的環境が、その必然としてもたらしたものなのである。他に仕方などなく、そうする以外に無かったのである。日本列島という地理的環境が条件付けた歴史の必然なのである。これが日本という現実を生きて行く者にとっての、最低限のルールなのである。 民族の精神的な気質や気性といえども、このような、民族が生きている現実の自然環境と切り離しては考えられないのである。イヤ、むしろ、情緒や、感覚の感じ方の特性・傾向といったものは、このような自然環境の中から生まれ形成されてきたものであり、それと切り離すことの出来ない一体のものなのである。 |