index < 日誌 < u列島< 「生理」p15/ |
自分自身の本来の感覚といったもの、それが見失われ、消し去られている。本来の自分と一体のものであるはずの感覚といったものが、どこかで切断され、分離されて、自分のもとから際限なく離れて行く。現実から隔離され切断された、意識の妄想の中で、自分自身が合成され、惑わされ、そそのかされ、おとしめられ、辱められている。そうした際限のない迷信の世界を生きている。 にもかかわらず、それが真実の世界のように思えて来て、そこから離れようとはしないのである。そこから出て行っても、どこへも行くアテなどないのである。そして何よりも、自分に自信がないのである。そしてまた、それ以上に新たな未知の現実というのが恐ろしいのである。。 なかば、うすうすではあるが、自分のいる世界というのが、偽(いつわ)りと、まやかしの世界であるということが、わかっているのである。それは、すでに終わった現実なのであって、だからこそ、そこから出て行くというのが、恐ろしくてたまらないのである。もはや、帰るところが無いのである。だから、そこにしがみついたままで、生きて行くしかないのである。イヤでも信じるしかないのである。たとえそれが、迷信だとわかっていてもである。 迷信といえども、何らかの真実が少しぐらいあるのかも知れない。だから、人々から支持されたりもする。だれにも解りやすいし、みんなもそうだから、なおさらである。しかし、真実も、迷信も、いずれ色あせてくるし、自分自身が安楽を求める限り、真実も迷信と化してしまう。そうやって、現実が限りなく薄っぺらくなって、消えてゆく。そして終わる。 しかしそれは、やはり偽りの、いまや消えて行く世界に過ぎないのである。それは、自己の一体性と自意識が破壊されたところにのみ成り立つ、空想の世界であり続けるしかないのである。そしてまた夢は、めざめるしかないのである。 |