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3、異質。



ユーラシア大陸のハズレの奥の、そのまた海をまたいだ行き止まり。そして、そこに日本列島がある。つまり、大陸の中心から日本を見ると、どうでもよい、むしろ、かかわりたくない国でしかなかったのである。なんのメリットもなく、それどころか、日本が実力のある国だということ自体が、災いのタネを持ち込むことになるからである。

だから、19世紀に至るまで日本を侵略したのは13世紀の元寇の役ぐらいである。海の存在が異民族の大規模な軍事侵攻を不可能にしてきたのである。複雑な地形と密集した人々、そして人口そのもの。人間の数自体が多いのである。

しかし、もっとも根本的で重大な障害となったのは、地理的・物理的要因というよりも、むしろ、そこに住む人々の文化的・歴史的な特殊性こそが重大で決定的な障害となっている。あまりに異質なのである。異質であるがゆえに、世界に対して一致団結もするし、群れようともするし、集団的なのである。

それは、自分たちの外の世界に対してそうなのである。日本以外の世界、ユーラシア大陸に対してそうなのである。あるいは、社会としてのルールやマナーといったものが、国際社会の常識からすると、異質であり特殊だったのである。

自意識というのが、内と外、島と大陸、島という自分たちの世界と、外の世界というユーラシア大陸に分裂している。こうした関係性の中で自分を見ているのであって、そしてまた自分自身を意識もしているのである。

だから、異民族が日本を軍事的に征服し得たとしても、日本全体を、その文化的・社会的なシキタリや習慣、その感じ方や情緒的気質といったものまで支配することは不可能なのであって、ましてそれをシステムとしてまとめ上げることなど、非常に難しいのである。

大陸のように、頭だけを取り換えれば、それですべてが終わるという訳にはいかないのである。こうしたことが日本という島の特殊性、大陸と異なる異質な世界だという意味なのである。


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