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| いずれにしても、人間が現実に見ているのは、現実そのものではないし、また、人間の意識が作り出したものでもない。現実でも、観念でもなくて、そのどちらでもない、感覚の感じ方の世界なのである。目という感覚が映し出した映像の世界なのである。だからそれは、自然の現実のものでもないし、意識の世界に属するものでもなく、それらとは別のところにある、感覚という現象の世界なのである。 それは、人間が生きている現実の世界といったものが、人間の目の前に映し出されている。人間にとっての世界の成り立ちと仕組み、そしてその理由が示されている。だから、それを読み取り、理解しなければならない。その理由と意味を知らなければない。そうやって始めて人間は、自分が何であるかを見ることも、、知ることができるのである。そうやって人間は自分自身を知り、そして自分自身を見ているのである。 自分が自分の目で、自分の目の中を見ている。見えるものを無視して、視覚が視覚自体を見ようとしていて、そして感じ取ろうとしている。自分で自分を見ている。のぞき込んでいる。自分で、自分の中を見ようとしている。 自己が分裂し、引き裂かれた裂け目から、だれかがこちらを見ている。あちらの世界から誰かが僕を誘い、求め、招いている。誰かとは、分裂したもう一人の他人のような自分である。自分で自分を見ている。あーぁ、何と気味の悪いことか。 失われ忘れられていた自己が再生し、よみがえる。自分自身が発掘され、再発見され復活する。新たな誕生の瞬間である。初期化され再度、自分自身の意味と理由が問われ確かめられて行く。 |