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4、必然。



自分の中にあって、自分を支配して動かしている、普段は意識されることのない、もう一人の自分が見えてくる。自分のなかに住んでいるもう一人の別の自分のことである。自分の中で自分が対立し、どちらが本当の自分なのか自分でもわからなくなる。そうした自分がいつも自分のなかにいる。

いつでも心の奥底にそうした自分がいて、自分を支配し、背後から自分に迫って来て、その生き方や感じ方といったものを縛り付け、押さえつけて、制限し、狭い限られた方向へと追い立て、有無を言わせぬ強制力でもって迫ってきて、自分をつき動かすのである。

もはや、そのままでいることが許されず、むりやり外の世界へと追い立てられる。自分というのが否定され、どこか別のところへと、今とは別の世界へと無理やり引きずり出されるのである。

もはや、以前のままでいることが許されず、いままで通りの自分でいることが出来なくなっている。自分で自分を維持することが出来なくなっている。外へ出て行くしかないのである。仕方なく、しぶしぶと。

他に選択肢などなく、実に仕方なく、それ以外になく、自分の意志とはまったく無関係に、未知の異質な、いままでの自分が知らない、別の世界へと入って行かざるを得なくなっている。追い立てられ、引きずり出される。

それは、そうするしかなく、それ以外にあり得ず、それだけが残された選択肢なのである。たまたま「出口」というのが、そこにしか無かったのである。自分自身の都合というよりも、自分ではどうにもならない外の事情から、そうせざるを得なかったのである。

それは本人の意志とか能力などとは別の次元の、絶対的な強制力なのであって、避けることのできない必然、なり行き、自然の流れといったものなのである。


戻る。               続く。

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