index < 日誌 <g自己分裂< 「自己の発見」p7/ |
社会全体が共謀してグルになって、むりやり「悪者」を作り出している。これは偏見ではあるが、誤解ではない。文化である。世の中の秩序である。社会の不文律、もの言わぬ暗黙の共有感情なのである。そして、自分たちが拠って立つ存在の基盤なのである。社会全体が求める自分たちの存在の根拠なのである。だからまた、妥協できないのである。それは正義なのである。 自分で自分を見つけられないなら、それを他人に求め、他人にすがって生きて行くしかなく、それはどうしても、支配するものと支配されるものの関係を創り出す。そして同時にそれは、差別と序列を正当化する暗黙の共有意識を生み出す。そしてこれが自分たちの存在理由となり、秩序になり、そして正義となっている。 自分自身の中に反省する自己意識がなく、自分が見つけられず、とすれば、それは、自分以外の他人に探すしかなく、だとすれば、どうしても自分たちにとっての「悪者」と「偉い人」が必要になるのである。そうやって、そうした関係の中で、自分の居場所を見つける以外に無いのである。 そうするしかなく、他に選択肢などなく、そして、それがまた、この社会のシステムの要請なのである。このような社会では、このような生き方以外に存在のしようがないのである。他の生き方などあり得ず、認められず、許されず、存続し得ないのである。 その意味では、人間の生き方、感じ方、情緒や感性、そして感情といったものは、始めから方向づけられ、規定されているのである。自分では、どうにもならない、自分とは別の、次元の異なる世界なのである。これは個人ではどうにもならない、社会全体の要請なのである。 |
index < 日誌 <g自己分裂< 「自己の発見」p7/