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2、別世界。



祭りや、学校とか、催しものとか、あるいは職場とか、こうした人の集まる場所では、たいてい、誰もがまわりのみんなに気をつかっている。その場の雰囲気とか空気に神経を集中させて、まわりに合わせようとする。祭りを楽しむのは、それからのことである。

自分をまわりに合わせるというのが、人の集まるところのマナーなのである。そしてそれを、たいてい、みんながよくわきまえている。まさしく、こうした心の動き。それが意識されることも、自覚されることもないような、無意識の感覚と行動のパターンといったもの。実は、それが私には理解できないのである。僕には、それが理解出来ないし、自分が何か他人のように思えてくるのである。

不思議でもあるし、また、そうした自分に苦しむのである。どこか抜けていて、ズレている。私自身と現実との間に、何か別のものが入ってきているのである。自分が他人のように思えてきて、現実が映画館で見るスクリーンの中のような、別世界のように思えてくるのである。自分が見知らぬ世界に迷い込んだ「異人種」のように思えてくるのである。

肉体は現実の世界を生きているのに、精神は異次元の別の世界を生きている、そんな気がしてくるのである。そう思えてきてならないのである。はたして、自分にとってどちらが本当の現実なのか分からなくなるのである。僕は、偽りの夢の世界を生きている、と思えてくるのである。


戻る。             続く。

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