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自分で自分を意識する。自分で、自分の中にいるもう一人の自分と向き合う。まるで、だれもいない一人ぼっちの部屋の中で、鏡の中の自分と向き合うようなものである。精神が錯乱し倒錯する。自分がもう一人の自分に呑み込まれて、乗っ取られそうになる。 そしてこの、もう一人の自分というのが、自分でもだれのことなのか、まったくわからないのである。たぶん、ぼくより前に僕の肉体に住んでいた、もう一人の別のぼく自身のように思えて来るのである。 だからこそ、それが無視することが出来ず、忘れられず、いつでも、どこでも、ずっと僕を背後からせまってきて見つめ続けている、そんな気がしてくるのである。そうやって僕を支配し、あやつり、おびえさせて、どこか見知らぬ死の世界へと誘いだそうとしているのである。 これが僕の潜在意識なのだろうか。自分の心の奥底のどこかで、それを求め、期待し、のぞむようなところがきっとあったのだろう。でもそれは、たぶん誤解である。精神は、たぶん自分の中にあって自分のものではない、何か得体の知れないものに気づいていて、それが精神をむしばみ、おびやかし、おどしし続けていて、さいなまれ、苦しみ続けているのである。 |