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では、いったい何を恐れているのだろうか? 自分の存在の危機を感じ取っているのである。この世界を成り立たせ、その前提となっている、自分の意識と感覚の正統性が疑われているのである。自分そのものが疑われているのである。自分が自分に疑われている。 いま持っている自分の感覚と意識をもってしては、現実の世界を正しく反映できないという疑惑である。そして、この感覚と意識の根拠となっている、現実の自分の生き方、人間関係といったものが、その存在の基盤を失うということである。 自分の存在そのものが疑いにさらされているのである。言い知れぬ異和感とか、わけのわからない脅迫観念といったものが、それである。自分で、自分が否定されてゆくのを強く感じてしまうのである。それは失われ、否定されて行く自分自身のすがたなのである。言葉でも理屈でもなくて、本能的な直感として、精神はそれを感じ取り、さとっているのである。 |