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6、めざめ。



そうした言わば、他者の存在しない一人称の世界、世界中のすべての人間の意思や感覚をまとめあげる中心極、権威の中枢、中心核、それが世界のすべてを支配している。だからそうした意味で、これもまた「夢」なのである。

他者というのが見えなくなっていて、同時に自分自身が見失われている。自分を他人に譲り渡した必然の結果なのである。しかしまた、そうやってシステムが成り立つのである。維持され、保存もされ、そして継続してきたのである。あるいは継続して来ることが出来たのである。それがこのシステムの条件なのである。

ヒトラーのドイツ、毛沢東の中国がそうである。地球という限られた閉じた世界で起こっているのである。だからまた、そうした一人称の閉じた一人ぼっちの世界という意味では、これもまた夢と似ているのである。

ただし、アメリカは別である。アメリカは一人称のヨーロッパ世界から脱出してきた移民の世界だったからである。そして、第一次、第二次世界大戦でも、一人称の閉じた、自分たちだけで自己完結していたヨーロッパ世界に外から介入したのである。

自分たちと異なる世界の感じ方、リズム、生活の理由といったものを、アメリカは外からヨーロッパ世界に持ち込んだのである。それは東アジアでも同じである。東アジア世界は好き嫌いにかかわりなく、外の世界にかかわる以外に無かったのである。夢からめざめるしかなかったのである。そうして、外から自分を見ることになったのである。


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