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1、感覚。



人間にはバランスというものがあって、それは現実の、実際に目に見えるカタチとしての、もののバランスもあれば、目で見ることの出来ない心のあり方としてのバランスもある。そしてまた、そのどちらでもない肉体の感覚や生理作用、感覚の感じ方としてのバランスがある。

それも今、現実にある「感じ方」としてだけでなく、感じ方として移りゆく心の、時間的な変化の流れとしてのバランスもあるのである。感覚というのが、それを包んでいる外の世界の時間的な変化に合わせて、それ固有の変化のパターンを示すのである。それは感覚の変化のあり様であって、それ自体が感覚の感じ方そのものなのである。

情緒や感受性、気分や気性といったものがそれで、それは自分の意思でもどうにもならない、持って生まれてきた先天的なもの、あるいは、すでにある自分自身の現実のすがたなのであって、そしてまた、自分自身が現実に生きて呼吸している、自然条件と社会に深く根差したものなのである。

それは、自分が自分であることの証明であり、自己の内的同一性であり、自己の必然性と存在理由そのものなのである。すべてはそこから始まり、そこから生まれ、そしてそこから形成されてきたのである。そことは外的要因としての風土であり、内的要因としての自己の意識とは別のところで機能している、感覚の特性そのものなのである。

そして、こうした感覚の特性といったものがさらに進んで、なにかのイメージとして、そして論理のつながりとして意識もされ、表現されたのが、それぞれにとっての固有の民族宗教といったものではないだろうか。それは、人間が自分を意識し、自分自身を表現したカタチなのである。精神が自然環境の中から、自然環境を通して、自分のすがたをカタチとして現わしたのである。


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