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2、鼓動の音。



このような、人間が本来持っている豊かな情感、感性、センスといったものが、新たな世界を切り開いて行く。戸惑いや驚き、恐れや叫び、あこがれといったものである。こうしたことを自分とは別の世界、未知の異質な世界に見ているのである。あるいは、同じものを見ているのに、異質な感覚が別のものとして見せている。そして、見えてもくる。いままで気づかず見えなかったものが際限なく見えてくる。

このような感覚、感性や情緒の働きといったもの、そうしたものが無くなれば人間としてお終いである。半分、死んだも同じである。自分は自分の自律したリズムと必然性のもとに生きているであって、他人から聞いたとか、教えられたとか、命令されたとか、総じて他人によって活かされて、生きているのでは無いのである。

つまり、そうしたことが揺れ動く感情の起伏や、自分自身の情緒の世界の戸惑いや予感、迷い、衝撃として現れてくるのである。それはまさに、自分が自分であることの証明なのである。そうした自分の中にある感情の動き、恐れやタメライ、あこがれ、ときめき、といったものが無くなれば、もはや人間とは言えないのである。人間の顔をしたロボットになってしまう。それは自分のなかにある、自分にしかない豊かな情緒と、生き生きと躍動する精神の鼓動の表明なのである。


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