index < 日誌 < af必然< 「システムの起源」p8/


 
5、必然性。



様々な民族集団を特徴づける、その民族特有の気質や気性といったもの。そして、その根底にある感覚の感じ方や情緒といったもの。それらは、その民族が暮らしてきた自然条件と、文化と社会の中から生まれ、形成され、方向づけられ、決定づけられてきたものである。

感覚の感じ方やその特殊性、その幅や深度、指向性といったもの。それらは、その民族が生きてきた自然環境、地理や気候のといったものの反映であって、それは人間が、外の世界を自分の中で反射して映し出して来たものである。自分の感覚といったものが外の世界に反応して反射していて、そしてそれを自分の中で再び映しだしているのである。

しかし、それはまた反対に、自分自身のこうした感覚の特性を知ることによって、それが形成されてきた自然環境や文化的条件といったものが分かってくる。そしてそれは、自分自身の肉体の生理作用として保存され機能している、祖先の記憶そのものなのである。

それは自分自身の感覚のリズムであり、感じ方であり、感覚が求め指向する特性や傾向、すなわち「情緒」そのものなのである。それは自分自身の感覚の特殊性であり、個性でもある。そして、それは自分自身と現実世界とをつなぐ自己の内的同一性なのである。そうやって自分というのが全体として統合されて、自分が自分の下で生きて行くのである。

それなくして、自分がだれで、どこにいて、何をしているのか知ることが出来ないのである。それが自分の正体であり、自分が生きている理由であり、自分の存在の必然性なのである。


戻る。             続く。

index < 日誌 < af必然< 「システムの起源」p8/