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夏の有無を言わせぬ不可抗力、熱と湿気の世界。抵抗を断念させる、自然の圧倒的な支配力といったものが夏の自然の色に表れている。 コントラストが強く、景色の輪郭線が強く濃く太く、そして力強く鮮やかさで、そしてそれぞれが、他者に対して力強く対抗的なのである。そうならざるを得ないのである。自分が外へ出て水と熱を、あるいはまた、他の生物を自分の中に取り込んでこそ、自分が生き続けることができるのである。 生命が入り乱れあふれすぎて対立し、抗争しあう世界にあっては、それが秩序であり必然なのである。そしてそれがまた、日本の夏のむし暑さの実体なのである。むし暑いとはこのことである。わずらわしく、うっとうしく、少しもじっとさせてくれない。そして、いつも何かに追い立てられているのである。だから、外へ出て自分がそれに対抗しない限り、自分がそれに押しつぶされてしまう。 それは他の生物たちも同じで、自分の仲間と他の生き物たちよりも、自分がより多くを摂取し取り込まない限り、自分が取り込まれてゆくことになる。自分が自分でなくなってしまうのである。それが生命が横溢する、生命活動の頂点としての夏の世界なのである。 だからまた、夏の世界の色は、力強く鮮やかで、コントラストも強烈で、そしてなにもかもが、厚かましく、ずうずうしく、ふてぶてしく、そして騒がしく自分勝手なのである。生命といういのが、そうやって自分を生きている。そうならざるを得ず、そうやって、自己と生命全体が維持されている世界である。 それがこの夏の世界の必然であり秩序なのである。 |
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