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3、肉体。



意図され計画された業務のレイアウトといったものが、それをまったく無視して、それとは別に、別の感覚の世界を生成し始める。そしてその上で、意図もせず、意識もされないまま、情緒としての社会関係が出来上がっているのである。

それは、自分の外からやってくる、義務という押し付けではなくて、無意識の世界の、自分でも気づくことのないまま、自分の感覚がいつの間にか作り出したものなのである。だから、それが意識されるということがないのである。気づかず、知らぬ間に自然に出来上がっているのである。

表面上の意図され計画されたシステムとは別に、それを無視して、それとは別の世界が現実の中で作り出されて行く。それは特殊性であり、個性であり、そこに生きている人間の必然の方向性なのである。義務でも押し付けでもなく、自己の内的な自律性なのである。それは、人間がそこに生きているという感覚の主体性であり、自己の表明なのである。

そこにしかないもの、自分だけのもの、自分にしかなし得ないもの、自分が自分であることの証明がそこにある。自分の外から決められ、定められ、与えられたものではない。すでに既成事実と化した権威からの強制でもない。自分にしかない、自分自身の内的な存在の必然性なのである。

自分の、自分にしかない個性といったもの、呼吸や、肉体表面の息吹きや、心臓の鼓動の自律したリズムがそうである。血の流れの抑揚や、感情の起伏といったもの、感覚や、その生理作用の感じ方といったものがそうなのである。自分を取り囲む、文化と自然環境の下で形成されてきた自分自身の現実のすがた、すなわち、自分自身の肉体の記憶がそうなのである。


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