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3、めざめ。



眠っていた自分の中にある何かがめざめ、そして、そうした自分のすがたに驚き、恐れおののき当惑しているのである。自分の中で眠っていたもう一人の自分に気づき、そして発見したのである。

未知で異質な自分、いま生きている現実の外で生きている自分、身体は現実を生きていても、精神はそれとは別の世界を生き続けている。そうした、もう一人の、だれにも干渉されることのない、自分だけの自分というのを発見したのである。

それは必要なことだったのだ。必要だったからこそ、めざめて、気づき、そして発見されたのである。それは、求められていたものなのである。現実の自分に対抗する者としての、もう一人の自分。復活と再生、めざめと誕生、変化と移行の主体としての自分自身を発見したのである。

自分が何か別の人間になろうとしている。あるいは、未知の異質な世界に入ろうとしている。自分自身と、そしてまた現実というのが、いままでとは違う意味を帯びてくる。未知で異質だったものの正体がわかってくるし、それは自分にとって新たな出発の土台となるものだったのである。


戻る。            続く。

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