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間接光とは、あいだにある何かに反射して光が入って来るという意味であって、それは現実の世界では、光を乱反射させ、様々な角度から同時にものを照らすために、ものの明暗が薄くなり、間接光だけだと影そのものがなくなってしまう。影がないというのは物体から方向性が消えるということである。そして時間の概念が曖昧になり、自分と現実の境界もまた曖昧になる。 それは夢や空想や観念だけの、現実から切り離された閉じた世界であって、自分だけの閉じて、こもった、気ままで、気まぐれ、思い込みと自分勝手な主観だけが支配する、そうした非現実的で、ぼやけて、ぼんやりした無意識の世界である。自意識が自覚されることがなく、隠れて、ひそんだままで表に出て来ない、そうした世界である。 こうした世界に光と影の明暗、その輪郭と模様、そしてすがたとカタチを明瞭で鮮やかに映し出したのが直接光(=直射光)の世界と言える。そしてそれは同時に、目で見えることのない物体自身の個性やそれが行き着く先の方向性や原理といったものまで示している。 変化に乏しく、方向と時間の概念のあいまいな間接光だけでは、物体自身が持つ原理や必然性といったものが、見えて来ることがないのである。論理や必然性といったものは、変化する物体の時間の流れの中で確かめられ、目に見えない原理のカタチとして理解されてくるのである。それが私たちが生きている現実の生きた世界なのである。 |
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