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2、別世界の住人。


またしても僕は思い知らされた。やはり僕は異人種だったのだ。やはり僕だけが別世界の住人だったのだ。みんなと一緒に、みんなのなかで生きているのに、心のなかは、いつも周りの人間とは別の世界を生きていたのだ。

すがたカタチは同じでも、中身は全然別の世界の人間だったのだ。そして彼女(K夫人)もまた、別の世界を生きている、あっちの世界の住人だったのだ。けっして届くことのない、届いてもならない、そうした、僕とは全然別の世界の人間だったのだ。

僕がほのかに垣間見たと思えた導きの糸は、いざない、誘い、促したかに見えたかすかな希望の灯は、やはり幻でしかなかったのだ。僕はやはり一人ぼっちなのだ。昔からずっと、ずっとそうだった。そしてやはり今も、たぶんこれからもずっとそうであり続けるのだろう。いや、未来のことは分からない。しかし、やはりどう考えても、そうなるしかないだろう。

戻る。                   続く。


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