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かすかに見えたと思えた導きの糸も、希望の灯も、そしてなにもかも。願いや祈り、のぞみといったもの。それらすべては、やはり僕にとってみれば、幻でしかなかったのだ。 そうだ。幻なのだ。実体のないカラッポの現実を、あてもなくさ迷っているだけの人間なのだ。僕と彼女、そして僕と現実を結び付けていた糸が、どこかで途切れてしまった。そして僕の精神は、現実から離れて行って、幻になってしまった。 すがたカタチは同じなのに、中身がカラッポの、生きている理由を見失った幻のようなものになってしまった。自分が透明になって、影が薄くなって、足が地上から浮き上がって、いつしか気がつくと、自分が現実とは別の世界を生きているのである。 僕がカベを作って現実を拒絶しているのではない。むしろ反対に、現実が自分にとってどうでもよいものになってしまって、ぼく自身が反応しなくなっているのである。 |
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