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彼女が知らない、彼女とかかわりのないところで、彼女を無視して、彼女をデッチ上げ、捏造し続けていたのである。だからそれは、どうでもよいことだったのである。それは、ぼくの妄想に過ぎなかったのだから。 しかし、ぼくはいったい何を彼女の中に見つけ、そして、それはいったい何だったのだろう。それは、つまり、自分が願っていたもの、求め続けていたもの、ということなのである。本当の自分自身といったものなのである。 だから、それは本来、彼女K夫人とは直接の関係がないことなのである。そして僕が彼女の中に見つけたと思ったののは、実は、どこにでもあるものなのであって、ぼくは、ただそれを、彼女を通して見ていたということなのである。 |
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