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男の持つ硬さや強さや意志といったものも、女性の柔らかさや、おだやかな情緒や潤いがあってこそなのである。これはバランスなのである。そうした優しく包み込む女性的なうるおいがあってこそ、男性的な硬さや、あとさきを考えない意志といったものが意味を持ち得るのである。 ぼくは、自分でもどうしても分からなかったのである。自分がだれで、何のために生きていて、いったい何をしようとしているのか、自分でも自分のことが知りようがなかったのである。 だから、ぼくにとっての「K夫人」は、まさにそうした、ぼくから見ると壁の向こう側の、あちらの世界のあこがれであり続けたものだったのである。それなくして、ぼくは自分というのを自覚することが出来なかったのである。 |
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