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| それは、肉体という「入れ物」を持たない、いわばホームレス化した精神である。精神が肉体を離れて、現実の外の世界を生きている人間のことである。 あるいは、もともと別の世界からやってきて、自分の肉体に憑りついた、自分とは別の者なのである。自分とは別の、他人のようなもう一人の自分のことなのである。 僕の身体の中で、自分と、もう一人の他人のような自分とが同居しているのである。そして自分ではない、もう一人の自分が、ぼくの中でぼくを支配し強制しているのである。はたして、自分自身にとってみれば、どちらがホントの自分なのか、自分でも分からなくなるのである。 しかしまた、このような関係性こそが、自分という者の正体なのである。それは、自分の外から与えられ、定められた自分ではなくて、自分の中で、自分の中から自分が求められ、押し出されて浮かび上がってきて、そして強制しているのである。 外の現実とは関係のない、自分の中だけの世界なのである。だからまた、これこそがホントの自分なのである。かけがえのない、世界中の中で何よりも大切で貴い存在なのである。 |
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