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何かのひょうしに、ふと振り返った時、自分のすがたが分からなくなるときがある。これはいったいだれの肉体なのかと。自分の精神は、この肉体とは別のところにいるのではないかと。これは自分とは別の、だれか他人の肉体ではないのかと思えてくるのである。 筋肉質で骨格が強力で、直線的で、柔らかさや穏やかさというものに欠けている。どこか、何もかもが、なにかか意志的で、あらかじめ何か自分とは別の目的を持って作られた身体のように。自分の意志や心情とは別のところで、だれか他人によって作られたもののように思えてくるのである。 そしてそれが攻撃的で暴力的なもののように思えてくるのである。また、そのように自分に仕向けてくるのである。女と比較したときの、男の身体がまさしくそうなのである。あるいは、幼児や老人と比較したときの青年の肉体が、やはりどこか暴力的で意志的な感じがするのである。 暴力的? 意志的? しかし、いったい何のために、だれに対してそうなのだ? これがわからないのである。一番大事なことがわからないのである。暴力も意志も、目的があって始めて成り立つ「行為」なのである。 |
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