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1、境界線。


ぼくと現実との間には、いつも越えられない境界線があって、それはたとえば、越えてはならない谷間の向こう側の世界だったのである。それは越えられず、越えてもならない、あちら側の世界だったのである。

現実はいつも僕にとって、わずらわしく、いまわしいだけの、まるで他人事のような世界であり続けた。生きている自分というのが、まるで他人のように思えてくるのである。心と身体が分裂していて、まるでこの身体が、自分のものではない、他人のもののように思えてくるのである。

現実に生きている自分というのが、ぼくにとって何か別の、見知らぬ他人の世界のように思えてくるのである。どうしても馴染めない、何か越えられない境界線のようなものを感じてしまうのである。

はたして、ぼくはいったいだれなのかと、際限のない猜疑心を抱いてしまうのである。本当の自分が見つけられず、自分というのが誰なのかわからなくなるのである。

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