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これがつまり、あちら側の世界なのである。越えてもならず、 越えることもできない、境界線のアチラ側の世界なのである。そうです。ぼくはこの「境界線」のあちら側の世界を見ていたのである。現実にはあるはずのない、そしてまた、あってはならない幻のような世界を見ていたのである。 もしかすると、この身体は、本当はだれか他人の身体なのであって、ぼくの精神は、この他人の肉体に仕方なく乗り移り、住んでいるだけではないかと思えてくるのである。 身体と精神がそれぞれ勝手に、別々の世界を生きている。それだけでなく、身体上のぼくの感覚は、ぼくの知らない、何かぼくとは別のものを感じ続けている。僕には、ぼく自身の肉体の感じ方というのが、理解できないことがあるのである。 自分のことなのに、自分で自分がわからなくなるのである。ぼくの肉体というのは実は、ぼく以外のだれか見知らぬ他人のものであって、その他人によって動かされているのではないかと思えてくるのである。 僕は乗っ取られていて、憑りつかれた偽りの存在。身体だけがあって、精神は他人のものになっている、そうした実体のない偽りの存在のように思えてくるのである。自分がこの世の者ではない、オバケかユウレイのように思えてくるのである。 |
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