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1、不可抗力。

しかし、ホントにそうなのだろうか。それだけなのだろうか?

そうではなくて、人間には、自分でも自分が理解できず、意識もできず、そうした得体の知れない、見知らぬなにかが自分のなかに始めから住んでいるのではないだろうか。

自分のことなのに、自分でもどうにもならない、そうした自分以外のだれか他人によって、せかされ、突き動かされている、そうした自分でもどうにもならない部分があるのではないだろうか。自分でも、どうにもならない自分というのがあるのではないだろうか。

自分のなかから押し出され、浮かび上がってくる、得体の知れない衝動や気分、情緒の異変、コントロール不能な理由なき感情の爆発がそうである。あるいは、自分の外からやってくる、その場の気分や雰囲気といったものに、訳もなく支配されてしまうのもそうである。

こうしたことは、自分でも逆らうことの出来ない、自然な不可抗力とでもいったものなのである。自分でもどうにもならないことなのである。自分のことなのに、自分でコントロールできず、逆らうこともできず、それに支配され呑み込まれ、押しやれて行くのである。しかしまた、こうしたことが、人間の真実のすがたではないだろうか。

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