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1、支配。


これは神経が異常になって、変に偏った方向へ執拗に反応していて、あり得ない異常な世界に迷い込んでいるのである。

それは、生きている自分自身の肉体の鼓動の音であり、呼吸のリズムであり、あるいはまた、なにかを求め願う本能的な肌や指先の感触や、肉体自身のリズムや気配いといったものがそうなのである。

ぼくは、何かに導かれ、誘われて、いざなわれている。そして何かを求め、願い、祈り続けているのである。それは自分のなかにあって、自分でもどうにもならない、得体の知れない未知の世界なのであって、それが目覚めてきて、そしてぼくを動かし、コントロールし、支配しているのである。

ちょうど未知の天体の彗星が地球に近づいてきて、それに反応して、地球上のなにもかもが重力に従い、それへとなびいてゆくようなものである。ちょうど冬に凍りついた地面が、いつしか春になり、気づかないまま溶けだしてゆくようなものである。それは、だれも止めることのできない、自然の流れというものである。



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