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「まだら模様」


1、ぼやけたまま。


明暗のなだらかに連続する移動。
変化というのが、空間と時間ののなかで、
だれも気付かないうちに進行している。

いったい、どこがどのようにと問われても、
輪郭というのが定(さだ)かではないのである。
あいまいで、ぼんやりしていて、
ぼやけたままなのである。揺れ動き、
現れては消えてゆくマダラ模様の世界なのである。

だから、常に変化していて、その中で、
何かがヒラヒラとただよっている。
まるで、夢の中をさ迷う何かの忘れ物のように。
あるいは、主人を失った魂(たましい)のように。

まるで、自分の心の中の谷間を、
のぞき込んだときのようで。
底が見えず、晴れることのない霧の中を、
ヒラヒラとただよいながら、落ちていく感じなのである。


 戻る。              続く。



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