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4、背景の色。



そうした、何の意味も持ち得ないような観念の世界である。自他の区別がなく、自意識という自覚のない世界。このような、いまだ自己というのが意識されない状態、これが背景の色なのである。いまだモノと背景が分離していない状態である。

そこから自己が意識されてきて、線となり、カタチとなる。だが正確にいうと、この背景の色はほとんど色などではなくて、あるのはグレーの明暗のかすみと、よどんで揺れ動くおぼろげなボヤけた世界である。

何のカタチも輪郭も規則もない。偶然と気まぐれだけが支配する世界。区別がなく、曖昧でとらえどころのない、移ろいと変化を不連続に繰り返している。なにもかもが曖昧でぼんやりした世界である。そうした世界から自己と他者の区別が生じてくる。

そして、そこから形が現れてくる。最初は途切れ途切れのなにかの線として。つまり、空間の裂け目として表現される。空間が歪んで、きしんで裂けて、その中から何かの裂け目の影として、形みたいなものが形成されてくるのである。あっちの世界とこっちの世界が交流しているのである。

それをまねいたのは、
1、自己の内部からの何か抑えられない衝動。あるいは、
2、外部からの衝撃。または、
3、外部からの誘発・影響によるもの。
    外からの誘発が自己の内部を刺激し呼び覚ましたのである。


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