index < 日誌 < 18-50「条件」


 
3、理由。



様々な民族を特徴づける、感覚や情緒、気質、そしてその限界やそれが指向する方向性、さらにそこから導き出される可能性といったもの。そうした内的な必然性が、外の現実世界に反射して映し出される。そしてそれがカタチとなったのが文化の様式であり、自意識であり、歴史ではないだろうか。自己の精神が生きてきた風土の中に、それが暗示され示唆されている、そう思えてくるのである。

人間が、現実の世界において何かをなし得るのはこの限りである。人間は、自分ができることだけを現実のものとして実現する。人間は、自分がもともと自分の中にそれが出来る可能性のあることだけが、現実として現れてくる。

そしてその実現の可能性とは、その民族に本来そなわっている気質や気性、情緒や、感覚や、あるいはまた、肉体の生理作用の特質とでもいったものである。だから結局、やはりその民族が生成されてきた「風土」と密接に関係していると言わざるを得ない。民族の可能性や特質の土壌となっているのが、この風土そのものなのである。

人間がその下で生まれ形成されてきた感情や情緒、気質や気性といったもの。そして、その現実の前提としての地理や気候条件、さらに文化や民族性といった歴史的に受け継がれて来たもの。およそ、そうしたことの根源的な必然性といったものが、「風土」そのものの中にあるように思えてくるのである。


戻る。             履歴へ。

index < 日誌 18-50「条件」