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1、生理作用。



人間の感覚や生理といったものは、人間が生きている現実の世界で起こっているのであって、この現実を離れて人間の生理も感覚もない。そして人間が生きている世界とは、現実の地上で暮らしている世界であり、そしてそれを気候という空気が包んでいる。

これを歴史という考え方から見ると、一瞬の瞬間的な歴史の断片・断面に過ぎない。例えば、気候によって感覚は暑さを感じ、肉体は汗をかき、精神は感情となって表出される。じっとしていられないのである。

あるいは、それが極寒の世界では反対にじっと閉じこもって内向する。極寒というよりも冷涼であれば、内向的はあるが意志的で理知的である。または何かを企(たくら)んでいる。あるいは、かつてのアラビアのように酷暑の砂漠であれば、打算的で意志的で行動的である。感情的にならない。死が待つ砂漠では人間の感情的な行動は、災いのタネでしかない。現実的で打算的・実用的なのである。


戻る。            続く。

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