index < 日誌 <v. 夢の中。<18-74「自意識」 |
夢の中では、光源(=太陽)の位置がはっきりせず、ただどこからともなく光が差していて、うすぼんやりと、ものとか人を浮かび上がらせている。 昼とか夜とかは、夢の中ではどうでもよいことであって、そんなことにおかまいなく人の姿が暗い背景の中から、あるいは心の闇の奥から浮かんでくるような感じなのである。ちょうど濃いキリのなかから人影が現れるように。そしてその人影が落とす影というのもない。まるで幽霊のように。 夢の中では何もかもが最適化・省力化・手抜きされていて、自分が求めるものしか見えないのである。それ以外のものは見えないし、現れない。 例えば、のぞまないものとか、怖(こわ)いものなどは、自分で耐えられず目が覚めて起きてしまうのである。それでもイヤな夢を見るのは、自分の肉体と精神が自分自身に仕方なく何かを訴えているのである。意義申立てをしているのである。 夢のなかでは、自分でそうであって欲しいと思うと、それがそのまま現れてくるし、こんなものないほうがよいと念ずると夢の中からそれだけが、いつのまにか消えてしまっている。つまり自分だけの閉じた自分一人の世界なのであって、そしてその中で自分一人ですべての登場人物を演じているのである。 それは、いわば魔法のカガミなのであって、自分の姿というのが自分が念じて願うそのままの姿で表現され、現れてくるのである。だからそれは自分だけの孤独な世界、閉じた内向的な、現実に背を向け世界なのである。 |
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