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それは、たとえば新製品の中核技術だったり、あるいはその「ブラックボックス」だったりもする。だがそれ以前の、人間精神の内面や人格についてもそのまま言えることなのである。それは入ってはならない境界線なのである。 その事情、理由、わけとか意味などについては、いっさい知ってはならないし、知る必要もないし、それは立ち入ってはならない領域なのである。それは人格という名の自己と他者を区別する境界線なのであって、たとえ夫婦や親子の間同士であっても、けっして踏み入ることが許されない精神の領域、境界線なのである。これがまた、人権とかプライバシーと言われているものなのである。 しかし、はたして人間に関して言えば、このような領域、侵すべからざる精神の領域といったものが、はたして本当にあるのだろうか。しかし実際には、現実の世界ではそのような領域はなかなか見当たらないのである。神聖不可侵であるはずの個人の人格といったもの、そしてそれ以前の精神の内面といったもの、それ自体が見当たらないのである。 仮に人格のなかに入っていったとしても、その中には何もみつからないし、そもそも何もないのである。まったく何もない不毛地帯と化しているのである。そうした何も無いという意味でだれも気づかないし、知ろうともしないし、そんなことどうでもよいものとして、いわば精神の墓場、ブラック・ホールとして立入禁止区域となっているのである。 |
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