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1、島。



日本的な「和」という世界からすると、それは何はともあれ盲目的な従順性と集団的な心情の一致が、何にもまして優先される世界である。これがまた情緒的な安心感と、そして道徳的な正義となっている。人間の頭の中を支配する絶対的な「信じるもの」、人間の心を宗教以前のところで支配し拘束し続ける根源となっている。

ここからこれを基に人間関係や宗教や社会のシステム、上下の関係といったものが作り出されている。人間同士の力関係の見極めと、それの自分にとっての利害関係を基にして生き方や考え方、そして人間関係とそのシステムが作り出されている。価値観や倫理観、正義や道徳といったものもそうである。

またこれを日本の地政学的条件から見てみると、外国の文化や技術といったものが、いつも十分に入って来るけれども、それがいつも「島国」という閉じた世界の中で完結していて、そこから出て行くということがなかったということである。

出て行く必要も、またその政治的・経済的実力もなく、さらにまたそれが実際の文化のオリジナルとして世界に通用することもなかった。島という閉じた世界の文化はあまりに特殊で偏っていて、世界の標準からすると一般的なものになり得ないものだったのである。またそれ以上に、島という狭い空間から出て行く、そうした実際的で現実的な必要といったものがなかったのである。


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